れみたそ@理科の先生のあれこれ

 とある理科教員の実験記録。

テストにマークシートを導入したらマクロを組まなくてはならなくなった話

 

マークシートを定期試験に導入して2回の試験が終了しました。ここでは導入にあたっての試行錯誤を備忘録的に残しておこうと思います。 

 

◯今回作ったマークシート

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 1.マークシート式の試験を導入しようと思ったきっかけ 

以前、企業に勤める友人が東京に出張にきた際に飲んだときのお話です。

学校現場では「要録は手書きでないといけない」とか、なぜか手書きにこだわる場面が多々あり、そのなかでも数百人分の採点は特に面倒、という半ば愚痴のような話をしたことがあります。そのときにサクッと返ってきた答えが

「テストなんてマークシートでええやん。何か問題あるん?(←富山県出身)

とバッサリ。

 

企業に勤める人は、無駄と思えること対してなんの後ろめたさもなく切っていくのだなあと感心しました。これが学校の先生相手だと、教育効果がどうのこうの、大学受験ではどうのこうの、という話になると思うのですが、試験をマークシートにしたら学力が確実に下がるという保証もないし、そもそも私が勤務しているような学校では一般入試で大学に入ろうとする生徒は皆無なので、その観点からマークシートを否定する必要性も感じられません。まあ、彼の意見が僕にとって非常に説得力があるように聞こえたのは彼が東大出身のいわゆる勉強のエキスパートの人間の意見であったというのもあるのですが。 

 

 

 2.導入したソフト 

そこで、教員生活で初めて、マークシート式の試験を導入することを決意。もちろんマークだけではなく記述式、論述式も取り入れ可能なソフトを探し、以下のソフトにたどり着きました。  

マークシート読取君4

マークシート読取君4

 

 

このソフト、なかなかに素晴らしいです。各生徒の解答一覧をcsvファイルで返してくれます。それだけでなく、私が勤務しているような高校の場合、マークシートに慣れていないせいか、マークが非常に薄いor適当な生徒がいます。そういう生徒の解答を拾うのにもこのソフトはとても威力を発揮します。(詳細は上のサイトを参照)

 

 

 3.解答の返却方法は? → Excelでマクロを組むしかない! 

学校での定期試験は合計点だけ生徒に返せばいい、というものではありません。僕の場合

・問題番号

・正答

・あなたの解答

・解答の正誤

・配点

の5点を表示させた答案用紙と共に本人がマークした解答用紙を返却したい、と思いました。なぜかといいますと、

・機械のマーク誤読対策(自分の解答と機械の読取りが一致しているかの確認)

・合計点の集計ミスの防止(合計点が正しいかの確認)

・自分の解答の正誤を認識してもらう(復習しやすくするための教育的配慮)

をテスト返却後に、生徒自身で簡単に出来る状況を作っておく必要性があると考えるからです。

もちろんそんなことは行わずに、合計点は読取りソフトで集計可能なので、合計点だけ印刷して返して、本人の解答用紙とともに正答一覧を別に配るだけでもテスト返却は完結してしまうわけですが、この辺は教員が定期テストにどこまでの役割を求めるかで変わってくるでしょう。 私の場合、自分の解答の正誤をしっかり認識させてその後の学習指導に役立てたいという考えがあります。

 

さて、上記の5点を表記して返す具体的な手段はExcelでマクロを組む以外にありませんでした。学校ネットワークに接続可能な支給されるPCでプログラミング可能なのはExcelぐらいしかないからです。僕自身、一度たりともマクロ組んだことないし、マクロに関わらないで済むのならそれが一番と思ってここまで来たのですが、仕方ありません。ちなみに私のプログラミング経験はほぼゼロで、

Pythonの初心者用解説を2冊読んだ機械学習に興味があったので)

程度の知識しかありません。ただ、それらの経験から本を買ってきて0から勉強するよりも、やりたいことさえできればいいので、ネットでひたすら検索しまくり、そこにあるコードをコピペしまくって貼り合わせたほうが早いと考え1行1行作っていきました。もちろん、コードが1行ずつ長くなるたびに思い通りに動かなくて更に検索をかける、という3歩歩いて2歩下がるという作業がひたすら続いたことは言うまでもありません。

◯作った解答用紙に対応した返却用答案用紙(A4に2人分印刷)

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 4.マーク式試験のメリットデメリット 

マーク式試験のメリットを点数で表すと

+1000点 採点の速さは圧倒的!そして正確!

+20点   すべての解答を一度画像として取り込むので、不正行為抑止につながる

の2点です。まず、採点の速度は圧倒的に早い! 事前に答案返却用マクロさえ組み上がっていれば試験終了後の1時間で採点、印刷のすべてが終わってしまいます。この速さは圧倒的です。

短くはない教員生活の中で、素早くかつ、手採点・手集計の間違いを少なくする方法を身に付けて来たつもりなのですが、それでも毎回毎回200人以上の採点をしていると2,3件はどうしてもミスが出てしまいます。それが今の所一切ありません。また、極稀に返された解答用紙を修正するという不正行為を行う生徒がいますが、画像で全員分の解答をJPEGで取り込んでいるので、不正行為抑止にも繋がります。(機械採点なので全員分の解答画像を保存している、と生徒にも言っている。)

 

一方、マーク式試験のデメリットは

-50点   問題の選択肢を作るのがめんどくさい

  -5点   マークシートを読取るために、毎回ソフトの読取り設定を行う必要がある

  -5点   選択問題、記述式問題の数に合わせ、毎回答案返却用Excelマクロの一部に変更を加えなければならない。

くらいです。もちろん

-300点 Excelでマクロを組む(初期投資)

はありますが、そんなもの一度作ってしまった僕にはもう関係はありません。それに、マクロを食わず嫌いしていた僕にとって、仕事で使えるプログラミングを行うことができた、という良い経験にもなりました。それに選択肢を作るのが面倒という問題も計算問題を数学のセンター試験のようにすればもっとラクになると思います。

 

  

 5.結論 

結論として、マークシートの処理速度は圧倒的です。毎度毎度マクロを多少いじることになりますが、今後も間違いなく使い続けると思います。ちなみに、既にテストだけではなく、授業アンケートや感想の集計とかにも威力を発揮しています。