れみたそ@理科の先生のあれこれ

 とある理科教員の実験記録。

摩擦力と抗力(生徒実験 その2)

こちらは動摩擦力と抗力の関係を確認する実験。2年生なのですが、昨年実験はほぼ未実施とのことで、確認実験として行いました。(タイトルが”その2”なのはこの実験を行ったのが5月頃だからです。写真は未実施だったクラスのもので先々週のもの)

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※この実験は主目的である次の実験への前哨戦なのですが、著作権者からその実験の公開許諾を得ているわけではないのでそこは記事にはしません。もし、ご興味のある方は仮説実験授業研究会の授業書《まさつ力と仕事量》をご覧ください。

 

 

さてこの実験、摩擦力を上手に測るためには物体を引きずるのではなく、下の紙をひきずって測るのがポイント。ただ、じめじめした雨の日は避けたほうが良さそう。紙が湿気を吸ってところどころ引っかかってうまく測れない班が多かった。晴れた日のクラスはほとんどきれいに測れました。

この実験方法は、有名な本ですが「いきいき物理わくわく実験」の中にあります(何巻だったかな? 学校に置きっぱなしなもので(汗))。この本は3巻まで出ているのですが、高校物理の先生必携だと思います。(もちろん実験やらない先生には関係ありませんが・・・)

いきいき物理わくわく実験〈1〉

いきいき物理わくわく実験〈1〉

 

 

しかしながら、重さをどんどん増やしていくと摩擦力はきれいに比例しなくなってくる班が続出。そう、摩擦のお話はそう簡単ではありません。専門書でも摩擦の内容だけでたくさんの書籍が出版されるほど。個人的にはネット上で拾える解説としては東大地震研の波多野恭弘先生(現大阪大学)の解説が一番まとまっていてわかり易いと思います。ご参考までに(→ここをクリック)。

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また摩擦係数μはゴムの場合、荷重をかけていくとμの値が小さくなるという事実が知られているようです(→ここをクリック 記事の中の図7参照 )。抗力Nの値に応じて変化するμの入試問題とかあっても不思議ではありませんね。

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個人的には今回の生徒実験を通して、「摩擦って測るのは難しい、摩擦のお話は奥が深い」ということを生徒たちに感じてもらえればそれで目的は達成というわけです。

ところどころでこういう物理の深みへの「入り口」を見せていきたいですね。