れみたそ@理科の先生のあれこれ

 とある理科教員の実験記録。

真空での水の冷却実験 その2

 

さて、前回の続き。今回は、

実験室の室温を変えて、蒸発冷却の対照実験

 

まずは室温13℃程度で真空引きをします。

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約2時間後、あらら、まさかの本来の目的達成。凍ってしまった。

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今回の実験は、室温(おそらく実験室の輻射熱)がどの程度、蒸発冷却の終点温度に影響を与えるか、をみるつもりだったのですが、初めて見事に凍ってしまいました。

あらあら、室温を下げるだけで簡単に凍ってしまうのですね。一昨年の試行錯誤の日々は一体何だったのか。(^^;

 

 

さて、上の状態から暖房をつけてみました。ちなみに実験室は非常に広いのであたたまるのに1時間位はかかります。

2時間後、室温は20℃になっていました・・・。

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氷がだいぶ溶けていました。室温は約7℃しか上昇していないのにこの差。つまり、20℃程度の室温かつ、この道具を使用する条件では何時間やっても凍らないことになります。(本当は完全に解けるまで実験したかったのですが、20時を過ぎると高速料金が倍になるのでここで終了)

 

さて、偶発的ではありますが「真空で凍らせる」という目的はまず達成。

 

しかし、授業で使うということを考えると

 1.夏であっても50分以内、できれば40分くらいで凍らせる

 2.もっと大量の水を使用し、見やすい状態で沸騰・凍らせる

の2点は達成したい。

まだまだ先は遠そうだ。

 

 

※断熱の方法について

断熱きちんとできているかどうかも、実験室の温度変化の対照実験では重要な要素になると思います。ただ、理科実験ということを考えると、仰々しい装置ではなく、可能な限り身の回りにある道具を使用するべきと考えます。経験的にですが身近なものを使用した簡易な装置のほうが生徒の感動が大きいのと、教育に関わる研究開発は他の先生が真似しやすいものであるべきと思うからです。そこでプラコップを下の写真のように重ね、真空容器との接触面積を可能な限りすくなくするようにしてみました。

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真空での水の冷却実験 その1

 

最近、真空での水の冷却実験を再び試みています。

この時期は部活動の大会も少ないのでこういう試みができます。一昨年のこの時期にも同じ実験を試みていたのですが、うまく行かず、結局そのまま忙しい4月を迎えて今に至ります。

 

さて、この試みの目標は

「真空状態にすることによって、水を凍らせる」です。

 

それでは実験。まずは300mlビーカーに水を150ml投入して真空を引きます。

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10分後 

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 一昨年に実験したとき同様、このあたりから温度低下が緩やかになり、8℃程度までしか下がりません。

一応、実験動画です。02:30あたりからの沸騰している様子は見事ですね。


真空状態での水の冷却実験

 

 

では、なぜ上の実験は8℃よりも下がらないのか。

水の量を変えた対照実験の結果を見て考えてみましょう。真空状態でいずれも1時間以上放置しました。

パターン1:水多め

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パターン2:水少なめ

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もう少しで凍りそうです。惜しいですね。

水を極端に少なくすると終端温度もかなり下がることがわかりました。さて、ここからわかることは、蒸発する面積はほとんど変わらないので

「水はどこからか熱をもらっている」

ということであり、

「その熱の供給速度は水の体積に依存する」

ということです。

 

このような記事を目を通す方ならすでにピンと来ているかもしれませんが、この場合、熱浴とはもちろん実験室そのもので、十中八九、実験室の輻射熱で間違いないと思います。これは未確認なので、後ほど確かめてみたいと思います(こうやって思考が整理されて、次の実験を思いつくのが文章にして発信することのメリットですね)

 

 

しかしながら、まだまだ「真空状態で凍る」という状態にはまだ遠い

最終的な目的は当然授業で使うこと。生徒に実験を感動的に見せる、という観点で考えれば、規模が小さいよりも、ちょっと遠くの席からでも冷えて凍る様子を確認できるようにしたい。

 

さあ、ここからが長そうだ。

 

 

 

 

 

【授業風景2】"くす玉"で モンキーハンティング実験

年末恒例(?)、物理基礎でモンキーハンティング実験の第2弾。

今度は斜方投射のモンキーハンティング実験。距離は約9m(教室の限界)。

 


射方投射モンキーハンティング実験(くす玉ver.)- The Monkey and the Hunter No.2 -

 

※実験をご存じない方は以下のサイトを参考にしてください。

site.ngk.co.jp

 

なかなかいい反応ではないでしょうか。

授業の様子を撮影したのは期末試験後の、とある午後の授業。黒板にsin cos tanが出てきて、強い睡魔に襲われた生徒多数でしたがよく授業に付き合ってくれました。(もちろん起こしながら授業してますよ。何回起こしてもだめな生徒もいましたが。まあ・・・実業高校なので。)

 

的のピンポン玉には、衝突した瞬間が感動的にわかるように中に穴あけパンチのゴミが詰まっています。鉄球は空気抵抗に負けないためのおもりです。衝突するとキレイに中の紙が飛び散ります。

(※ ピンポン玉の落下距離がだいたい1mを超える実験ではおもり必須)

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一般的に、モンキーハンティング実験は距離が長くなればなるほど、空き缶やぬいぐるみなど、弾に対して明らかに大きな「的」を使用します。

しかし私は「弾に対して、的が明らかに大きすぎる」という部分に、学校の理科実験でありがちな「インチキ臭さ」(実際に実験するとうまくいかないけど、この理論は正しいのですと言い張る的なやつ)を感じていたので、実験をやるときは弾と的の大きさをほぼ同じにして、長距離でこの実験を行っていました。

長距離での実験にこだわっていたのは、もちろんダイナミックな方が面白いから!

 

ただ、その実験は少々危険性がある実験なので(後ほど別クラスで実施したものをアップロード予定)、あまり人に勧められるような実験ではありませんでした。

そこでどうすれば安全な実験になるかとある勉強会でご相談したところ、UJ高校のA先生が、的が"くす玉"みたいに割れて中身が出れば同等の実験になりうるのでは?とアドバイスをくださり、それをもとに考え出した実験が上の動画です。

  

やはり、楽しい授業には楽しい実験が必須ですね!

 

 

【授業風景】水平投射のモンキーハンティング実験

年末恒例(?)、物理基礎でモンキーハンティング実験。

(※ご存じない方は以下のサイトを参考にしてください。)

site.ngk.co.jp

 

さて、まずは水平投射のモンキーハンティング実験から。物体の運動を考えるとき、鉛直方向と水平方向で分けて考えてよい、という考えを改めて認識してもらうため。

ここまでの授業でも縦と横で分けて考えてよいという前提のもとみっちり教えてきているので、この予想は生徒が当たる生徒が多い(というか、正解してくれないと僕の授業が無意味だったということになる\(^o^)/)。

 

ただ不思議なことに射出速度V0の大小で当たるかどうかを予想させたとき、射出するビー玉の初速が早いと当たらない、と考える生徒もそこそこいて少し驚いた。逆に遅いと当たらない、と考えそうなものだが。

生徒の意見を聞く限り、横に早く動く物体はただ鉛直方向に落下する物体に比べてそんなに落ちない、ということらしい。(相対論的には正しい?😁)。

もちろんその間違った直観を打ち壊すために実験を行うわけだ。何度となく実験はやってきいるけれど、やはり物体の運動を感覚的な次元から掴んでもらうためには形を変えて繰り返すことが必要だ。

 

実験距離は10m弱。ビー玉は吹き矢のように飛ばしている。

2回目、少し弱めに吹いたときの動画がピンぼけしている&画面の外で衝突しているが、ご了承いただければと思う。


水平投射のモンキーハンティング実験

 

次回の授業は斜方投射でのモンキーハンティング。

水平でやったら当たった。今度は角度をつけたらどうなるかな?

 

寒天をつかったダニエル電池

こんばんは、れみたそです。

今週は月曜火曜と時間を作り、他校で開催された研究授業を参観してきました。

・12/10 化学の研究授業

・12/11 物理の研究授業

 

おそらくどの地域でも研究授業後は質疑応答があると思うのですが、いずれも

なぜか、みんな黙ったまま!

時間だけが過ぎていくのです。

自分も研究授業やったことある側なので、その空気耐えられず、一発目に質問&発言をしてしまったのですが、

素晴らしいなら、素晴らしい、と言えばいいし、改善点ありと思うならそれを伝えればいい(言われる側的には痛いのもよく分かるのですが)と思うのですが、如何でしょうか。

 

 

さて、なかなか面白いな〜と思ったのは「寒天をつかったダニエル電池」です。

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寒天でダニエル電池

上の写真の3つの寒天はCuSO4、ZuSO4、NiSO4です。

CuSO4とZuSO4の組み合わせで電子オルゴールがよく鳴ってました。寒天どうしをくっつけただけで音がなるんだー、と素直に感心しました。

授業そのものも手練の先生だけあって、授業の運び方も非常にうまく、誕生日の生徒に演示実験を手伝わせて「ハッピバースデー」の電子オルゴールを鳴らすサプライズ演出など、参考になる研究授業でした。

 

職場関係では繋がれる教員の範囲は限られているので始めてみました。

タイトルのとおりです。

理科(主に高校物理)に関わる情報交換や、その他の業務効率化など、校務関連の情報交換もできればと思います。

ただ皆さんと同様、部活に校務に授業研究にと、なかなかに忙しい日々なので、ゆっくりコツコツ更新していこうと思います。

よろしくお願いします。